無断キャンセルの原因や対策方法を解説
無断キャンセルは、飲食店やサロンなどさまざまな業種で起こり得る迷惑行為で、繰り返し発生すると店の経営にも悪影響を及ぼします。
突然の体調不良や不慮の事故など、来店を楽しみにしていたにもかかわらず、無断キャンセルしてしまうやむを得ない事情もあるため、ゼロにすることは難しいかもしれません。
しかし、原因や対策についてきちんと理解しておくことで、限りなく減らすことは可能です。
予約の無断キャンセルとは
店の経営において、大きな打撃となる原因のひとつが無断キャンセルです。
無断キャンセルは、予約しているにもかかわらず、連絡なく店に訪れない(キャンセルする)ことです。
直前にキャンセル連絡するドタキャンとは異なり、無断キャンセルは連絡なくキャンセルするため、遅刻をして来るのか、来ないのか分からず、当日枠で席を埋めることもできません。
以下では、無断キャンセルで起こりえる被害や、キャンセル料の請求などについて解説します。
無断キャンセルで起こりえる被害
無断キャンセルで起こりえる被害として、経済的な被害が挙げられます。
無断キャンセルされると、本来であればサービス提供により得られるはずであった売上がなくなってしまうため、経済的な打撃は大きいです。
例えば、ヘアサロンの場合、カットで4,000円~1万円程度、カラーで5,000円~1万5,000円程度、パーマで8,000円~2万円程度の金額が損失となっていまします。
いくつかのメニューを組み合わせたロングメニューの場合、被害は数万円に及ぶこともあるでしょう。
無断キャンセルが何度も続くと、経営にも大きな影響を及ぼします。
また、直接的な売上減少のほか、人件費や材料費なども無駄になります。
さらに、飛び込み客の案内がしにくくなる、スタッフのモチベーションが低下する、キャンセル対応や予約の管理でスタッフの業務負担が増えるといった被害も起こりえます。
無断キャンセル時の料金は請求できる?
無断キャンセルされた場合、キャンセル料の請求は可能です。
顧客が電話やメールなどから予約を申込して、店が承諾した時点で契約は成立しているためです。
契約が成立した以上、店は予約日に施術する義務が、顧客は店に行き施術を受けて代金を支払う義務が発生。
そのため、顧客が無断キャンセルすると、義務を放棄したとみなされます。
具体的には債務不履行といい、民法415条に「生じた損害の賠償を請求することができる」と定められています。
しかし、実際のところ当日現地支払いにしている店は、キャンセル料の請求方法が分からず泣き寝入りしがちです。
また、キャンセル料を請求する場合も、あらかじめキャンセルポリシーを作成し顧客に喚起しておかなければ、トラブルに発展する恐れがあるため、注意しましょう。
キャンセル料の目安
妥当なキャンセル料の金額は消費者契約法9条により「平均的な損害」という概念があるため、高額なキャンセル料の請求はできません。
そのため、キャンセル料を設定する際、無断キャンセルによる損害金額を考える必要があります。
サロンなど美容業界では、無断キャンセルでおこる損害金の計算方法として、「キャンセルがなければ本来得られた粗利益×(100%-ほかの顧客がくる確率)」があります。
キャンセル料設定する際に参考になるので、例を見てみましょう。
例えば、ヘアサロンで5,000円のカラーメニューを予約していた顧客が無断キャンセルをしたとします。
5,000円のうち材料費が500円であれば、粗利益は残りの4,500円です。
無断キャンセルであれば新たに予約を入れるのも難しいため、ほかの顧客がくる確率は0~10%で設定します。
「4,500円×(100%-10%)=4,050円」となることから、施術メニュー金額の約8割を無断キャンセル料として設定できます。
なお、飲食店における無断キャンセルの場合、席の予約のみであれば平均客単価の5~7割、コースの予約は代金100%を請求しても許容範囲内です。
無断キャンセルの場合は100%を請求すると喚起している店も少なくはありません。
しかし、業種やサービスによってトラブルに発展する可能性もあるため、あまりにも高額なキャンセル料の請求は避けましょう。
無断キャンセルが発生する原因
無断キャンセルなんてあり得ないと思うかもしれませんが、全てが悪意の下で行われているわけではありません。
なかには対策できるものもあるため、原因について理解しておきましょう。
予約したことを忘れていた
無断キャンセルは店にとって深刻な迷惑行為ですが、わざとやっているケースはわずかで、予約していたことをうっかり忘れて当日を迎えてしまったというケースがほとんどです。
予約成立のメールの見落としや、予約日時の勘違いなどが理由に挙げられます。
最近では、店に直接訪れたり電話をしたりしなくても、サイト上やSNSなどから手軽に予約ができるようになりました。
その手軽さから、予約したこと自体を忘れてしまうケースも少なくないようです。
日程変更やキャンセルを忘れていた・できなかった
予約したこと自体は覚えていたが、日程変更やキャンセルを忘れていた・できなかったというケースも多くあります。
店の予約が埋まりやすい時期に起こりえるケースで、飲食店であれば年末年始の忘年会・新年会シーズンなど、ヘアサロンであれば年末や卒業式・入学式シーズンなどが挙げられます。
いわゆる「繁忙期」は、店の予約取りづらくなってしまうため、とりあえず押さえておく人も少なくはありません。
また、予約の受付・変更が直接または電話だけの店の場合、営業時間内に連絡することが難しい方もいます。
意図的に無断キャンセルした
稀なケースですが、なかには故意に無断キャンセルするケースもあります。
迷惑行為だと理解していて故意にキャンセルする理由には、連絡するのが面倒になった、過去の来店時の対応に不満を持ったなどが挙げられます。
そのため、過去に店とトラブルになった顧客の再来店の場合には注意が必要です。
無断キャンセルを防ぐための対策
無断キャンセルの原因を理解すれば、防止するための対策を練ることもできます。
前項の原因をもとに、無断キャンセルを防ぐ対策について解説します。
キャンセルポリシーを明確化する
キャンセルポリシーを明確化し、万が一キャンセルした場合はキャンセルがかかるという意識を顧客に認識してもらうことが大切です。
予約後のキャンセルが可能な期間や、キャンセル料をきちんと設定しておくことで、無断キャンセルを防止できます。
キャンセルポリシーは、ホームページや予約サイト、SNSなどに記載しましょう。
また、後々トラブルにならないよう見やすい場所・分かりやすい場所に記載しておくことも大切です。
直接来店や電話で予約を受ける場合には、予約時にキャンセルポリシーを伝えておきます。
予約を受けるスタッフが複数いる場合は、スタッフ間でもきちんと共有しておきましょう。
事前決済を導入する
無断キャンセルによる経済的損失を防ぐためには、事前決済の導入も有効です。
ヘアサロンやネイル・まつげサロンでは、ホットペッパービューティーのスマート払いなどの決済システムを導入することで、無断キャンセルされてもキャンセル料が請求できます。
ほかの業種でも、予約システムを利用することで事前決済の導入は可能です。
また、当日支払う金額の全額でなくても、デジポットと呼ばれる一時的な預り金や保証金のようなシステムもよいでしょう。
デジポットは、日本ではあまり普及していませんが、海外でサービスを利用する際には求められることが多いです。
予約システムの導入
無断キャンセルの防止には、予約システムの導入がおすすめです。
予約システムでは事前決済が利用できるほか、インターネット上で24時間予約やキャンセル・日程変更ができるため、無断キャンセルを防げるだけでなく、新規顧客獲得にもつなげられます。
システムによって異なりますが、無断キャンセルを防ぐための便利な機能も備わっています。
リマインドメールを送信する
リマインドメールは予約の日時が近づいてきたことを知らせるメールで、うっかり忘れていたケースに有効です。
リマインドメールはいつ送ってもかまいませんが、早く送りすぎるとまた忘れてしまうこともあるため、前日か2~3日前くらいに送ることをおすすめします。
また、予約システムのなかにはリマインドメールを自動で送信してくれるものもあります。
日程変更やキャンセルをしやすくする
予約日の都合が悪くなったが日程変更やキャンセルするのを忘れていた・できなかったというケースを防ぐためには、日程変更やキャンセルをしやすくしましょう。
予約システムを導入すれば、インターネット上で24時間いつでも予約・変更・キャンセルができるため、顧客は直接来店や電話をする必要はありません。
また、予約画面にキャンセルポリシーや規約を記載し、キャンセルポリシーや規約の同意を必須とすることも可能です。
直接来店や電話予約では、キャンセルポリシーを伝えても口頭でのやり取りため「言った言わない」とトラブルに発展することもあります。
予約システムを導入すれば、キャンセルポリシーや規約に同意したうえで契約が成立するため、万が一キャンセル料を請求してもトラブルに発展することは少ないです。
無断キャンセルされたときに取るべき行動
無断キャンセルされたときに店側が取るべき行動について解説します。
無断キャンセルは、業種に限らず起こりえます。
キャンセル料の請求など然るべき対応が必要ですが、場合によってはトラブルに発展する恐れもあるため、穏便に進めることが大切です。
当日中に連絡する
無断キャンセルが発生したら、かならず当日中に顧客に連絡します。
とくにキャンセル料を請求する場合は、早めに連絡を入れましょう。
体調不良や事故などやむを得ない事態で無断キャンセルすることもあるため、相手の事情に配慮した文面で請求してください。
件名:ご予約のキャンセルについて【▲▲(店舗名)】
本文:○○(顧客)様
こんにちは。(はじめまして。)▲▲(店舗名)です。
この度は、□月□日□時(日時)のご予約ありがとうございました。
お時間を30分過ぎてもご来店がなかったため、予約をキャンセルいたしました。
ご都合の良いときに再度ご予約をお待ちしております。
なお、キャンセルポリシーに記載のとおり、キャンセル料をお支払いくださいますようお願い申し上げます。
お手数をおかけしますが、期日までに下記口座へお振込みください。
キャンセルメニュー・料金:△△コース・料金 10,000円(当日キャンセル90%)
銀行名:△△銀行
支店名:△△支店
口座番号:0000000
名義:カ)△△
振込期限:□年□月□日
相手を非難しない
無断キャンセルは店にとって、腹立たしい行為です。
しかし、うっかり予約を忘れていたり、体調不良や事故に遭ったり、やむを得ない事態で無断キャンセルすることもあるため、連絡する際には相手を非難しないようにしましょう。
冷たい口調や相手を責めるような口調で連絡すると、店の印象を悪くしてしまいます。
また、内容によってはSNSなどに投稿され炎上してしまう可能性もあるため、冷静になって相手に失礼のない内容で連絡しましょう。
「時間になってもお姿が見えなかったため、スタッフ一同心配しておりました。」
「ご体調などいかがでしょうか。」
といった一言をいれると、顧客は連絡を入れやすく、再来店を促せるでしょう。
件名:ご予約のキャンセルについて【▲▲(店舗名)】
本文:○○(顧客)様
こんにちは。▲▲(店舗名)です。
いつも▲▲(店舗名)をご贔屓にしてくださいまして、誠にありがとうございます。
□月□日□時(日時)のご予約につきまして、お時間を過ぎたため、予約をキャンセルいたしました。
時間になってもお姿が見えなかったため、スタッフ一同心配しておりました。
次回のご予約について日程調整いたしますので、ぜひご連絡をいただければ幸いです。
返信を強要しない
無断キャンセルの連絡をする際には、返信を強要しないようにします。
無断キャンセルをした顧客の多くは気まずさや後ろめたさを感じているものです。
顧客のなかには、もう店とは関わりたくないと思っているかもしれません。
そのような気持ちのなか返信を強要されると、店の印象も悪くなってしまいます。
また、キャンセル料が発生している場合も、期日までは返信を求めないでください。
期日までに支払いがない場合のみ、催促しましょう。
まとめ
無断キャンセルは、店の経営に大きな打撃を与える原因のひとつですが、どの業種にも起こりえます。
なかには故意に無断キャンセルする人もいますが、多くは予約そのものを忘れていた・日時変更やキャンセルを忘れていたという理由が挙げられます。
これらの理由による無断キャンセルは、予約システムの導入により防止できることがほとんどです。
予約システムには、リマインドメールの送信やインターネット上で24時間いつでも予約・変更・キャンセル可、事前決済などの便利な機能が備わっているためです。
また、業務効率の向上や新規顧客の獲得などにもつながります。
無断キャンセルの対策方法として予約システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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