【2025年版】予約管理システム比較

宿泊施設経営者に必須!「ブッキングカーブ」とは?

公開日:2025.02.19 更新日:2025.02.19

「稼働率がなかなかあがらない」
「キャンセルが多発し利益に影響しかねない」

このような悩みを抱えている宿泊施設の経営者の人もいるでしょう。

宿泊施設の経営に悩みを抱えている人におすすめしたいのがブッキングカーブです
活用することで適切な価格設定や、利益最大化のための戦略を立てやすくなります。

ブッキングカーブが経営に求められている理由、作成方法、注意点について解説しているのでぜひ参考にしてください。

ブッキングカーブとは

ブッキングカーブとは、設定した基準日までの稼働数やキャンセル数などを可視化できるグラフです。

縦軸を稼働率、横軸を残り日数とした予約(ブッキング)のデータが曲線(カーブ)を描くことから、つけられた名前です。

ブッキングカーブを採用することで、客室の埋まり具合や、過去の販売価格などの基礎データが正確に把握できるようになります。

予約が入りやすい時期やキャンセルが増えやすい時期が明確になるため、以下の営業戦略を生み出せます。

  • キャンセル率が高まるシーズンはプロモーションを打ち出し稼働率確保をする
  • 需要が高まるシーズンは価格を引き上げるなどの見直しを検討する

データに基づくため、経営を初めて間もない方で根拠のある戦略を考えられます。宿泊施設経営者は、ブッキングカーブを活用しましょう。

ブッキングカーブが経営で必要な理由

利益確保や経営効率向上に役立つブッキングカーブは宿泊業界や航空業界などで活用されています。

過去のデータや現在の状況を把握するのが容易になるため、適切な施策を練りやすくなるでしょう。

部屋の残数を正確に把握するため

ブッキングカーブは部屋の残数を正確に把握するために必要です。
正確な残室数を把握することで、効率的に客室を販売するための戦略を立てられるようになります

ブッキングカーブで明確化された過去のデータは、シーズンオフには特別プランやイベントを用意したり、稼働数に応じて直前割引を導入したりと事前に対策を練るときにも便利です。

過去の予約動向と現在の市場傾向や残室数に応じて、価格を柔軟に設定し利益の最大化を目指しましょう。

キャンセル数を正確に把握するため

稼働率を高めるためにも、キャンセル数は常に把握し対策していく必要があります。

客室稼働率100%が利益の最大化の近道ですが、宿泊施設を経営するにあたり、頭を悩ませてしまうのがキャンセル数ではないでしょうか。

早い段階で全客室が予約で埋まっていても、一定数で発生するキャンセルにより稼働率は下がるため、シーズンによっては満室よりも多くの予約を受けるという対策をすることが一般的です。

しかし、キャンセル数の予測を見誤ることで発生するのがオーバーブッキングや客室の売れ残りです。
オーバーブッキングは顧客の信頼を失い、売れ残りは機会損失になるでしょう。

リスクを軽減するためには、ブッキングカーブでキャンセル数の予測精度を上げることが不可欠です。

客室の適正価格を把握するため

宿泊予約が目標値に届かない場合には客室価格を見直す必要がありますが、容易なことではありません。

ブッキングカーブがあれば、蓄積された過去のデータにもとづいて適正価格を導きやすくなります
蓄積されているデータが多ければ多いほど精度は高くなるため、より効果的な価格設定が可能です。

一方で、稼働率100%になれば「適正価格であった」とも言い切れません。
早い段階から客室が完売している状況であれば、客室単価を上げられた可能性も秘めています。

客室単価を上げられるチャンスを逃していれば、機会損失です。
データを精査しながら定期的に適正価格を見直すためにも、ブッキングカーブは役立ちます。

レベニューマネジメントに活用するため

ブッキングカーブはレベニューマネジメントにも活用できます。

レベニューマネジメントとは航空業界などでも採用されている経営戦略のひとつで、客数需要の予測と適切な販売管理により利益の最大化につなげることを目的としています。

客室数は限られている宿泊施設において、キャンセル数は利益に悪影響を及ぼすため、利益を最大化させるためにも、稼働率は常に意識しなければなりません。

ブッキングカーブとレベニューマネジメントを取り合わせられれば、利益目標と実績との剥離も一目瞭然です。
過去のデータを活用し先を見越した戦略を立てられると、競合との差別化や顧客取り込みも期待できます。

ブッキングカーブの作成方法

小規模経営の宿泊施設であれば、エクセルにてブッキングカーブの作成が可能のため、ぜひチャレンジしてください。

ブッキングカーブを作成することで、経営者は「予約が集中するタイミング」や「キャンセルの発生タイミング」の2項目に注視できるようになります。

価格設定やキャンペーンなどを的確に計画し、効果的な販売戦略を立てていきましょう。

データを収集する

ブッキングカーブを作成するために、以下の情報が必要です。

  • 過去の予約状況
  • 客室の販売状況

実際の予約数だけでなく、該当日に対して予約やキャンセルが入った日のデータも、予約状況に含まれます。
予約が入ったりキャンセルが発生したりした時期もわかると、より正確なブッキングカーブができあがります。

精度の高さを求めるなら、豊富なデータ量が必要となるため、可能な限り過去のデータをまとめましょう

表を作成する

データ収集したあとは、表の作成をしていきましょう。

販売室数は対象日時点の累計販売室数を指し、販売室数ペースは「対象日の販売室数÷基準日の販売室数×100(%)」で算出。

前日差分は「販売室数ペース-前日の販売室数ペース」で導かれます。

〈例〉

残日数 販売室数 販売室数ペース 前日差分
0 100 100% 20%
1 80 80% 10%
2 70 70% 20%
3 50 50% 20%
4 30 30% 10%
5 20 20% 5%
6 15 15% 5%
7 10 10% 3%

グラフ化する

表を作成したら、エクセル上でグラフ化しましょう。

  1. 残日数と販売室数の範囲を全て選択し「挿入」タブを選択
  2. 「グラフの種類の変更」を選び「マーカー付き折れ線グラフ」を選択

スプレットシートの場合は、「挿入」を選択したあとに「グラフ」をクリックすれば作成できます。
グラフ作成時にはデータごとに色の表示を変えると、より見やすくなるでしょう。

ブッキングカーブを活用する際の注意点

経営戦略を練るために便利なブッキングカーブですが、いくつか注意点があります。
効率的な経営やブッキングカーブの活用をするためにも、注意点を把握しておきましょう。

収集データの偏り

ブッキングカーブを有効活用するためには、精度を高める必要があります。

精度を高めるためには多くの情報を集めることと、収集する時期を偏らせないことが重要です。
収集する情報が少なかったり、収集期間が偏っていたりすると精度が落ちてしまいます

効果的な戦略を立てるためにも、正しい分析を導き出せるようなブッキングカーブを作成しましょう。

過度な価格変動

利益の最大化を実現するための戦略のひとつとして、客室の適正価格の設定が挙げられます。

しかし、利益を優先するあまり、過度な変動を行なうと顧客の不信感に繋がってしまうため注意が必要です。
「高すぎる価格設定」や「設定価格の上下変動が頻繁に行なわれること」は避けなければなりません。

価格の変動が激しいと顧客が予約するタイミングを見極められず、予約自体をやめてしまうきっかけとなります。
値引きのタイミングは適切に行ない、安定感ある価格対策が大切です。

データへの過度な依存

精度が高くても、データを過信しすぎるのは避けたほうが良いでしょう。

周辺イベントの中止や災害、市場変化は精度の高い過去のデータだけでは対応できないため、最新の外部要因や市場動向は常にチェックする必要があります。

また、システムの誤作動やデータの不具合により、正しい情報が更新されないこともあります。

効率的な経営を行なうためにブッキングカーブは必要であるため、コンスタントに整合性をチェックし、データの精度を維持していきましょう。

想定外のキャンセル率

ブッキングカーブでは過去のデータからキャンセル数の予測が可能ですが、日々変化する市場動向によっては、キャンセル数が予測よりも高くなることがあります。

予測よりも多くのキャンセルや空状況がある場合、対策を早めに立てないと稼働率低下を免れません。

常に予約動向をチェックしながらリスク対策を練ることが重要です。

オーバーブッキングが起こるリスク

ブッキングカーブを過信しすぎると、過剰に受けた予約数がキャンセル数を上回り、オーバーブッキングとなりかもしれません。

オーバーブッキングは顧客の信頼を失うリスクがあります。
稼働率向上、利益最大化が実現できても、顧客から不信感を抱かれてしまっては本末転倒です。

稼働率を可能な限り高めるために、キャンセル分を見越して実客数よりも多く予約を受けることも必要ですが、リスクヘッジも考えて予約数を調整しましょう。

ブッキングカーブのデータ収集は予約システムを活用するのがおすすめ

ブッキングカーブを作成するにあたり、必要となるのは多くのデータを簡単に収集できるツールが予約システムです。

収集期間が偏らないように情報をまんべんなく収集することで、精度の高いデータ作成と明確な戦略の立案ができます。

しかし、自身で多くのデータを収集するのは時間も手間もかかってしまうでしょう。

予約管理・顧客管理に特化した予約システムであれば、予約情報をファイルで出力できる機能が搭載されているものもあります。

予約システムを活用することでデータ収集の効率はさらに高まるでしょう。

予約システムに関しては以下をご覧ください。

予約システムとブッキングカーブを活用して利益の最大化

ブッキングカーブを活用することで、利益最大化に繋げられるような戦略を立てやすくなります。

「料金を抑えて回転率を上げるのか?」
「客室数が少ないため、価格を上げて高級感を出すのか?」

など、ブランディングを見直す際にも役立つブッキングカーブは、利益最大化を目指すための心強い味方となるでしょう。

効率的な経営、利益向上を目指している人はぜひ活用してください。

ブッキングカーブ作成に欠かせないデータ収集は、予約システムがあることで手間を省けます。

自社に最適な予約システムがあれば、予約業務の効率化にもつながるため、予約システムの導入・切り替えを検討しましょう。